お笑い!囲碁替え歌

囲碁替え歌30(筋悪編)
「乱れ髪」
by 美空ひばり

乱れ髪 by 美空ひばり


 石の乱れに目をやれば
 シチョウアタリが風に舞う
 憎や悔しや わが碁のカタキ
 出たのに切れぬわが筋悪さ
 石が絡んで団子に絞る

 捨てたつもりの一団を
 逃げる碁打ちのサガ哀し
 辛や重たや わが石ながら
 置きの手を見る上手の網を
 ツケて切りたいこのヘボの意地

 春は2子でも勝てた人
 3子置いても足らぬ秋
 暗や果てなや この碁の行方
 見えぬ死活を照らしておくれ
 一つ目小僧にしないでおくれ

囲碁替え歌29(喘ぎ編)
「天城越え」
by 石川さゆり

天城越え by 石川さゆり


 隠しきれない焦り手に
 いつしかあなたも気がついた
 この石取られるくらいなら
 そちらを殺していいですか
 
 碁乱れてハメ手ワザ
 卑怯だと常連の客
 舞い上がり揺れ落ちる
 石の向こうにあらら
 死にが見える

 何があってももういいの
 クラクラ燃える地を捨てて
 あなたを取りたい喘ぎ声

囲碁替え歌28(父と娘編)
「秋桜」
by 山口百恵

秋桜 by 山口百恵


 白黒の石たちが秋の日の
 何気ない日溜まりに競っている
 このごろ先の碁にしてくれた父が
 打ちながらひとつ咳をする
 
 縁側で板碁盤開いては
 わたしの幼い日のうまい手を
 何度も同じ話し繰り返す
 独り言みたいに小さな声で
 
 こんな小春日和の穏やかな日は
 あなたの優しさが沁みてくる
 あした嫁ぐわたしに碁は教えたが
 強くなってしまって婿殿を負かすのが
 心配だと笑った
 
 盤見つめ形勢を読みながら
 しばらくは楽しげにいたけれど
 突然石音高く打ちつけて
 祝いの手だよと微笑む父
 
 こんな小春日和の穏やかな日は
 もう少しあなたと碁を打たせてください

囲碁替え歌27(こりゃ損だぞ編)
「はじめ人間ギャートルズ」オープニングテーマ

はじめ人間ギャートルズ オープニングテーマ


 損、損、損、損、 損、損、損、損
 そーん そーん そ~ん

 はじめ一線 損 損 そーん
 石音高いが 損 損 そーん
 地合い変だよ 損 損 そーん
 隅が取られる 損 損 そーん
 白が渡るよー 損 損 そ~ん
 三目だぁ~!

囲碁替え歌26(みんな死んじゃった編)
「夕焼け小焼け」

「夕焼け小焼け」

 大ナカ小ナカで目が取れて
 ハマに打ち上げ彼が泣く
 あわててつないで皆死んだ
 この地も一気に殺しましょう

囲碁替え歌25(今日も負けだった編)
「長崎は今日も雨だった」
by 内山田洋とクールファイブ

長崎は今日も雨だった by 内山田洋とクールファイブ


 シノギ1つに 賭けた局
 活きれば勝ちと 信じたの
 逃げて 逃げ続けて
 ひとり 中原をさまよえば
 行けど破れぬ 包囲網
 ああああ~ 対局は 今日も負けだった~

 模様1つに 賭けた局
 これで足りると 信じたの
 消しに 受け続けて
 ひとり ふと気付けば
 打てば打つほど 地が痩せる
 ああああ~ 対局は 今日も負けだった~

囲碁替え歌24(大石とられもん編)
「ドラえもんの主題歌」

ドラえもんの主題歌

 あんなこといいな できたらいいな
 あんな石 こんな石 いっぱいあるけど~

 みんな みんな みんな 取られてしまう
 不思議な一手で 取られてしまう~

 ここは 凝っても ツギたいな~
 はい! タケフツギ~

 アン アン アン
 凝っても 大石 取られもん~

囲碁替え歌23(院生はつらいよ編)
「泳げ!タイヤキくん」
by 子門真人

泳げ!タイヤキくん(あそべ!院生くん)


 まいにちまいにち ぼくらは対局と
 詰碁でしごかれて いやになっちゃうよ
 ある朝ぼくは  師範代と
 ケンカしてそとに とびだしたのさ
 はじめてあそんだ ビルのそと
 とってもきもちが いいもんだ
 アタマの脳ミソが おもいけど
 そとは広いぜ  心がはずむ
 みどりの木々が 手をふって
 ぼくのあそびを ながめていたよ

 やっぱりぼくは 院生さ
 すこし棋力ある 院生さ
 棋院で見知りの 先生が
 ぼくを憎らしそうに 叱ったのさ

囲碁替え歌22(手抜きはダメよ編)
「精霊流し」
by さだまさし

精霊流し by さだまさし


 去年のあなたは筋悪で
 生きてる大石 死んでいました
 見るに見かねてお友達も
 集まってくれました
 あなたがこさえたなけなしの
 唯一の財産 黒模様
 次の一手が見えますか 軽く消す手が

 定石どおりに あなたの手抜いた
 その石もついでに 咎めましょう
 そしてあなたの 逃げる石を
 追ってゆきましょう

 私の小さな初孫が 何も知らずに
 はしゃぎまわって
 この石もう活き筋はないと ほざいたのです

囲碁替え歌21(下手の愚痴編)
「関白失脚」
by さだまさし

関白失脚 by さだまさし


 お前に指導碁 してもらってるけれど
 言うに言えないことだらけ
 かなり淋しい話になるが 俺の本音も聞いとくれ
 多少のウソ手打ってもいいから 黒地も少し残しておいて
 上手に見てもらい 白のウソ手ばかり指摘される
 それじゃあんまり わびしいのよ
 忘れていいけど 欠け目も知らない俺だが
 精一杯がんばってんだよ 俺なりに それなりに

 こんなアキサン 作っちゃ駄目よと
 お前の石も 団子になってるの 解ってるぞ
 四隅の三々に しっかり入っておいて
 厚味がぼけたなどと よくまぁボヤけるなぁ
 手抜けない手抜き ムダな勝手読み
 本気で生きたきゃ あんなに手抜かなきゃいいのに
 それからあれだぞ そのシチョウアタリ
 シチョウじゃなくて ゲタで取れてるぞ
 それぞれご不満も おありのことと思うが
 それでも7子になれて よかったと俺思ってるんだ

 そして今日も7子の面目守る為に 碁会所という名の戦場へ往く
 辺は削られ 中も消され
 人は私を哀れだというけれど 俺には四隅の地がある
 四つの隅の地のためなら 辺も中もいらないと誓ったんだ
 それだけは疑ってくれるな 心は本当なんだよ
 四隅も思いどおりに 生きられなかったけれど
 下手くそでも一所懸命 コウ付きで粘っている
 隅が死んだあと いつの日か 何かちょっと紛れそうな時にでも
 そっと思い出してくれたなら きっと死に石も幸せだよ
 がんばれ がんばれ がんばれ ヘボ碁
 がんばれ がんばれ がんばれ ザル碁
 ありません